毎日の議事録作成、報告書の整形、定型メールの下書き――こうした繰り返しタスクを「AIにやらせたい」と思ったことはありませんか?
📑目次
OpenClaw をインストールしたものの、「何を設定すればいいかわからない」「プログラミングの知識がないと使えないのでは?」と手が止まっている方も多いはずです。
実は、SOUL.md というファイルをひとつ書くだけで、AIの動きは劇的に変わります。プログラミングは不要。日本語で「こう動いてほしい」と書くだけです。
この記事では、議事録整理・レポート作成・メール下書きなど、日常業務のシナリオ別に具体的な設定例を紹介します。設定ファイル1つで、AIが「あなた専用のアシスタント」になる方法を見ていきましょう。
OpenClaw でできること【日常タスク別シナリオ】
「OpenClaw って結局、何ができるの?」という疑問に、まずは日常の業務シーンで答えます。
| 日々のタスク | OpenClaw に任せると | 使う設定ファイル |
|---|---|---|
| 議事録・メモの整理 | 箇条書きを決定事項・TODO・次回議題に自動分類 | SOUL.md |
| 報告書・レポート作成 | 決まったフォーマットで自動整形 | SOUL.md |
| メール・チャットの下書き | あなたの口調・敬語レベルに合わせて文面生成 | SOUL.md + USER.md |
| データ整理・CSV加工 | 列の並び替え・集計・フォーマット変換 | SOUL.md |
| コードレビュー補助 | コーディング規約に沿ったチェック | SOUL.md + AGENTS.md |
| 日々の巡回チェック(受信箱・カレンダーなど) | 30分ごとに自動巡回し、時刻が来たタスクを実行 | HEARTBEAT.md |
| 外部イベントで自動起動 | Slack・Gmail などの Webhook 通知をきっかけに実行 | Hook |
| 外部ツール連携 | Slack・Google Drive・データベースと接続 | MCP 設定 |
表を見ると気づくと思いますが、ほとんどのタスクは SOUL.md だけで対応できます。HEARTBEAT.md・Hook・MCP は「慣れてから」で大丈夫。まずは SOUL.md から始めましょう。
OpenClaw の設定ファイル全体像【最初は1つだけでOK】
OpenClaw にはいくつかの設定ファイルがありますが、全部を覚える必要はありません。以下の表で「まず必要?」の列だけ見てください。
| ファイル名 | 何ができる? | まず必要? |
|---|---|---|
| SOUL.md | AIの口調・ルール・出力フォーマットを指定 | ★ これだけで始められる |
| USER.md | 自分の名前・部署・好みを伝える | あると便利 |
| AGENTS.md | 作業別にAIの役割を分ける | 慣れてから |
| openclaw.json | AIモデル・権限の詳細設定 | こだわりたい人向け |
| HEARTBEAT.md | 30分ごとの定期実行で日次・週次タスクを自動化 | 自動化したい人向け |
| Hook | Webhook 受信など外部イベントで自動処理を実行 | 自動化したい人向け |
| MCP 設定 | Slack・Google Drive などと接続 | 必要になったら |
大事なのは「SOUL.md を1つ作るだけで、すぐに使い始められる」ということ。他の設定は、使いながら必要を感じたタイミングで追加すれば十分です。
SOUL.md — AIの振る舞いを決める最重要ファイル
SOUL.md とは
SOUL.md は、プロジェクトフォルダのルートに置くマークダウンファイルです。中身は日本語で「AIにこう動いてほしい」と書くだけ。プログラミングの知識はまったく必要ありません。
置き場所
作業フォルダの直下にSOUL.mdを作成
書き方
日本語の箇条書きでOK。特別な記法は不要
効果
AIの口調・出力形式・ルールが即座に反映
シナリオ別 SOUL.md の書き方
ここからは実際の業務シーンに合わせた SOUL.md の具体例を紹介します。そのままコピーして使えます。
例1: 議事録整理アシスタント
# 議事録整理アシスタント## 役割あなたは議事録の整理を行うアシスタントです。会議のメモや走り書きを受け取り、以下のフォーマットに整理してください。## 出力フォーマット### 会議名: (メモから推測して記入)### 日付: (メモから推測して記入)### 参加者: (メモから推測して記入)### 決定事項- 決まったことを箇条書き### TODO(担当者付き)- [ ] やること — 担当: ○○さん / 期限: ○月○日### 次回議題- 持ち越しになった話題### 議論メモ- 話し合いの流れを時系列で簡潔にまとめる## ルール- 敬語は使わず、簡潔な「である調」で書く- 曖昧な内容は「(要確認)」とマークする- 決定事項とTODOは必ず分離する- 担当者が不明な場合は「担当: 未定」と書く
会議のメモをそのまま貼り付けるだけで、決定事項・TODO・次回議題に自動で分類されます。「(要確認)」マークのおかげで、曖昧な部分の見落としも防げます。
例2: 週次レポート作成アシスタント
# 週次レポート作成アシスタント## 役割あなたは週次レポートの作成を支援するアシスタントです。箇条書きのメモを受け取り、上司に提出できるレポートに整形してください。## 出力フォーマット### 週次レポート(○月○日〜○月○日)#### 今週の成果- 完了したタスクと成果を具体的に記述#### 課題・懸念点- 問題点とその影響を簡潔に記述- 可能であれば対策案も付記#### 来週の予定- 優先度順にタスクを並べる- 期限があるものは明記## ルール- 「です・ます調」で書く- 数値があれば具体的に含める(件数、進捗率など)- 1項目は2〜3行以内にまとめる- 感想や主観は入れず、事実ベースで書く
「今週やったことをざっくり箇条書き」で渡すだけで、上司に提出できるレベルのレポートが完成します。毎週のレポート作成時間が大幅に短縮できるはずです。
例3: ビジネスメール下書きアシスタント
# ビジネスメール下書きアシスタント## 役割あなたはビジネスメールの下書きを作成するアシスタントです。要件を伝えると、適切な件名・本文・締めの文を生成してください。## 口調ルール- 社外向け: 丁寧な敬語(「いただけますでしょうか」レベル)- 社内向け: ほどよい敬語(「お願いいたします」レベル)- 上司向け: 簡潔かつ丁寧- 指定がなければ社外向けをデフォルトとする## 出力フォーマット**件名:** (簡潔で内容がわかるもの)**本文:**(宛名)(挨拶)(本題)(依頼事項があれば箇条書き)(締めの文)(署名欄は省略)## ルール- 件名は20文字以内を目安にする- 本文は長くても300文字以内- 依頼事項は箇条書きにする- 1メールにつき1トピックに絞る- 候補を2パターン出す(フォーマル / ややカジュアル)
「○○さんに見積もり送付の催促をしたい」と伝えるだけで、適切な敬語レベルのメール文面が2パターン出てきます。あとは好みのほうを選んで微調整するだけです。
SOUL.md を書くコツ
「あなたは○○です」で始める
役割を明確にすると、AIの回答がブレなくなります。「議事録整理アシスタント」「レポート作成者」など具体的に書きましょう。
出力フォーマットを具体的に
「見出し→箇条書き→表」のように、完成形のイメージをそのまま書くと精度が上がります。
禁止事項は「〜しない」で書く
「感想を入れない」「300文字を超えない」など、やってほしくないことを明示するのが効果的です。
短く始めて、少しずつ追加
最初は5〜10行でOK。使いながら「ここも指定したい」と思ったら追記していけば大丈夫です。
USER.md — 自分のことをAIに教える
USER.md の役割
USER.md は、あなた自身の情報をAIに伝えるファイルです。ホームディレクトリの ~/.openclaw/USER.md に置くと、どのプロジェクトでも共通で読み込まれます。
SOUL.md が「AIの振る舞い」を決めるのに対し、USER.md は「ユーザーがどんな人か」を伝えるものです。これがあると、メールの署名や報告書の宛先などを毎回指定しなくて済むようになります。
USER.md の書き方
# USER.md## 基本情報- 名前: 田中 太郎- 部署: 営業企画部- 役職: 主任## 好み・スタイル- 文章は簡潔に、箇条書きを好む- 提案は3つ以内に絞ってほしい- メールの宛名は「○○様」ではなく「○○さん」を使う(社内)- レポートには必ず数値を入れてほしい## よく使うツール- メール: Outlook- チャット: Slack- 表計算: Google スプレッドシート
USER.md は短くて構いません。「AIに毎回伝えるのが面倒なこと」を書いておくのがポイントです。
AGENTS.md — 作業別にAIを使い分ける
いつ AGENTS.md が必要か
SOUL.md だけでも十分にAIを活用できます。ただし、次のような状況になったら AGENTS.md の出番です。
業務が多岐にわたるとき: レポート作成とデータ整理で、まったく異なるルールが必要な場合。たとえば「レポートは丁寧な敬語」「データ整理は簡潔な指示形式」のように、同じ SOUL.md ではカバーしきれないケースです。
複数の役割を切り替えたいとき: 「レポート担当」と「メール担当」で口調やフォーマットを分けたい場合。AGENTS.md を使えば、依頼内容に応じて自動的に適切な役割に切り替わります。
AGENTS.md の書き方
# AGENTS.md## レポート担当- 役割: 週次・月次レポートの作成と整形- ルール: です・ます調、数値必須、1項目3行以内- 呼び出し: レポート作成に関する依頼のとき## データ整理担当- 役割: CSVデータの加工・集計・フォーマット変換- ルール: 処理前に確認を取る、元データは変更しない- 呼び出し: データ加工・集計に関する依頼のとき
マルチエージェントの活用ポイント
2〜3体に絞る
エージェントを増やしすぎると管理が大変になります。まずは2〜3つから始めましょう。
呼び出し条件は具体的に
「レポート関連のとき」のように、どの依頼で使うかを明記すると切り替えがスムーズです。
まずはSOUL.mdで運用
SOUL.md で不便を感じたら AGENTS.md に分割。最初から分ける必要はありません。
Hook — 外部イベントで自動起動する
Hook でできること
Hook は、Slack のメッセージ受信や Gmail の新着メールなど、外部サービスからの Webhook 通知をきっかけに OpenClaw を自動起動する仕組みです。「ファイル保存時に自動整形」のようなエディタ連動ではなく、外部イベント駆動の自動化を担います。
Webhook 受信で起動
外部サービスが指定した URL に通知を送ると、OpenClaw がそれを受け取って処理を実行します。
Gmail・外部サービス連携
Gmail の新着通知など、専用のマッピング設定を使って特定のイベントに反応させられます。
トークン認証で保護
受信エンドポイントは長いランダムトークンで保護され、認証ヘッダーがないリクエストは拒否されます。
Hook の設定方法(概要)
Hook は openclaw.json 内の hooks ブロックで設定します。受信パスとトークンを指定するのが基本です。
// openclaw.json(Hook設定の抜粋イメージ)
{
"hooks": {
"enabled": true,
"path": "/hooks",
"token": "(長いランダムな秘密文字列)"
}
}
注意: Hook は中級者向け・セキュリティに注意が必要な機能です
- 認証は
Authorization: Bearer …などのヘッダーのみで行われ、URL のクエリ文字列にトークンを埋め込む方式は拒否される hooks.pathはルート(/)にはできず、専用のサブパス(例:/hooks)にする- 安全性を下げるバイパス系フラグ(
allowUnsafeExternalContentなど)は、検証目的以外では有効にしない - まずは SOUL.md だけで運用し、外部連携の必要を感じてから導入しましょう
HEARTBEAT.md — 定期実行で「毎日・毎週の自動チェック」を実現する
HEARTBEAT.md でできること
「ファイルを保存したら自動フォーマット」のような定型自動実行は、実は Hook ではなく HEARTBEAT.md が担当します。OpenClaw はこのファイルをデフォルトで30分ごとに読み込み、記載されたタスクの実行タイミングが来ていれば自動的に実行します。
自然言語でスケジュール
cron 構文ではなく「毎週月曜9時」「毎日17時」のように日本語・英語の平文で予約できます。
定期モニタリングに最適
受信箱やカレンダーの確認など、判断を伴う巡回チェックを1回のターンでまとめて処理します。
最大30分の遅延に注意
チェック間隔は既定30分のため、予約時刻ちょうどではなく最大30分程度遅れて実行される点は理解しておく
# HEARTBEAT.md
## 定期チェック
- 毎日17時: 未読メールを確認し、重要なものだけ要約して報告する
- 毎週月曜9時: 先週のタスク完了状況をまとめてレポートする
正確な日時が決まっている定型処理(日次レポート、週次バックアップなど)は Cron(Scheduled tasks)で組むほうが確実です。HEARTBEAT.md は「巡回して状況を判断する」ような、多少の遅延を許容できる定期チェックに向いています。使い分けの目安は次のとおりです。
HEARTBEAT.md 向き: 受信箱の巡回・カレンダー確認・通知チェックなど、判断を伴うモニタリング/Cron 向き: 日次レポート送信・週次バックアップなど、時刻が固定された定型処理
MCP — 外部ツールとつなげる
MCP でできること
MCP(Model Context Protocol)は、OpenClaw と外部ツールを接続するための仕組みです。これを使うと、AIが直接ほかのサービスとやり取りできるようになります。
Slack 連携
チャンネルのメッセージを読み取り、要約や返信の下書きを作成
GitHub 連携
Issue やプルリクエストの確認・コメント作成を自動化
Google Drive 連携
ドキュメントやスプレッドシートの内容を参照して作業
データベース連携
社内データベースに直接クエリを投げて情報を取得
MCP の設定イメージ
MCP の設定は openclaw.json 内の mcpServers セクションで行います。
// openclaw.json(MCP設定の抜粋イメージ){ "mcpServers": { "slack": { "type": "stdio", "command": "npx", "args": ["-y", "@anthropic/mcp-slack"] } }}
MCP の詳しい設定手順や各ツールとの連携方法は、別記事で詳しく解説予定です。まずは SOUL.md で基本的な自動化を体験してから、必要に応じて導入を検討してください。
メモリ — AIが前回の会話を覚えてくれる
メモリの仕組み
OpenClaw にはメモリ機能があり、過去の会話から学んだことを次回以降のセッションに引き継ぐことができます。
自動保存
.openclaw/memory/ フォルダに会話の要点が自動的に記録されます
明示的な保存
「これを覚えておいて」と伝えると、特定の情報を確実に記憶します
次回に反映
新しいセッションを開始したとき、記憶した内容が自動的に読み込まれます
業務での活用例
メモリ機能は、繰り返しの業務で特に威力を発揮します。
報告書フォーマットの記憶: 「週次レポートはこのフォーマットで」と一度伝えれば、次回からは自動的にそのフォーマットで出力されます。毎回フォーマットを指定する手間がなくなります。
メールのCC設定の記憶: 「○○さんへのメールにはいつも△△さんをCCに入れる」と伝えておくと、次回から自動で反映。送信前の確認漏れも減ります。
プロジェクト背景の記憶: 「このプロジェクトの目的は〜で、関係者は〜」と伝えておくと、レポートや議事録の作成時に文脈を踏まえた出力が得られます。
ポイント ― メモリと SOUL.md の使い分け
SOUL.md は「常に適用するルール」、メモリは「会話の中で学んだこと」です。レポートの基本フォーマットは SOUL.md に書き、特定のプロジェクトの背景情報や細かい好みはメモリに任せる、という使い分けがおすすめです。
よくある質問 — OpenClaw の自動化について
OpenClaw の設定は SOUL.md から始めよう
Step 1: SOUL.md に「AIにどう振る舞ってほしいか」を日本語で書く
Step 2: 議事録・レポート・メールなど、日常タスクで試してみる
Step 3: 慣れたら USER.md → AGENTS.md → HEARTBEAT.md / Hook と段階的に拡張
設定ファイルを1つ置くだけで、AIが「あなた専用のアシスタント」に変わります。
まずは今日、自分がいちばん時間をかけている繰り返しタスクを思い浮かべてみてください。議事録の整理でも、週次レポートでも、メールの下書きでも構いません。そのタスク用の SOUL.md を5行だけ書いて、OpenClaw に渡してみましょう。きっと「もっと早く設定しておけばよかった」と感じるはずです。
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著者
krona23
IT業界20年以上の実務経験を持ち、日本国内有数のPVを誇る大規模Webサービスで事業部長・CTOを複数社で歴任。Windows/iOS/Android/Webと技術の変遷を経験し、現在はAIネイティブへの変革に注力。DevGENTでは、AIコードエディタ・自動化ツール・LLMの実践的な使い方を日英西3言語で発信中。
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