ChatGPTデスクトップの内蔵ブラウザと ChatGPT Sites では、対応サイトが公開した WebMCP(OpenAI の製品名は site tools)を ChatGPT Work と Codex が発見し、実行できるようになりました。クリック位置を推測する操作より、名前と入力スキーマが付いた関数を呼ぶ方が短い手順で済みます。

📑目次
  1. WebMCPはクリック操作をサイト公開ツールに置き換える
  2. ChatGPTデスクトップでサイトツールを使う手順と制限
  3. 自社サイトとChatGPT Sitesをエージェント対応させる実装
  4. WebMCP Challengeの日程・賞金・提出条件
  5. よくある質問
  6. まとめ

ただし、利用できる条件はかなり限定的です。以下の4つの条件が同時に満たされる必要があります。

  • モデルは GPT-5.6 Sol または Terra
  • 最新のデスクトップアプリ
  • 内蔵ブラウザ
  • 対象ページがツールを出していること

Luna では無効、Enterprise / Edu では使えず、Chrome 上の ChatGPT でも動きません。2026年8月25日の発表時点では、公式ブログより OpenAI Developers の案内Learn ドキュメント が一次です。


WebMCPはクリック操作をサイト公開ツールに置き換える

ライブページへのツール登録

WebMCPは、エージェントが画面を見てクリックする代わりに、開いているページ自身がJavaScript関数をツールとして登録できる仕組みです。人と同じライブページかつ同じサインイン済みセッションの上で、名前・説明・入力スキーマが付いた処理を直接渡せるようになります。


通常のMCPとの差

通常の MCP は、ページを開かずにローカルまたはリモートのサーバへ別接続します。WebMCP は別コネクタを置きません。OpenAI Learn は、サイトごとに MCP サーバを用意しなくてよい点が差だと書いています。同じサイトが両方を持つこともできます。


草案上の名前・注釈・寿命

W3C Web Machine Learning Community Group の草案 では、次の制約があります。

  • ツール名は 1〜128 文字
  • ASCII 英数字と _ - . のみ
  • 注釈は readOnlyHintuntrustedContentHint(どちらも既定 false)
  • ページを閉じると、そのページのツールは消える

この草案はW3C StandardでもStandards Trackでもなく、APIの形は今後変更される可能性があります。

経路 動く場所 接続 向く作業
通常のブラウザ操作 開いているタブ なし クリック・入力。レイアウト変更に弱い
MCP ローカル/リモートサーバ 別コネクタ ページを開かずに API 相当の作業
WebMCP / site tools 開いているページとサインイン済みセッション 別接続不要 同一画面を人とエージェントが共有

出典:OpenAI Learn(Site tools / WebMCP)W3C WebMCP draft(2026年8月時点)

既存の画面ロジックを execute から呼ぶのが本筋です。エージェント専用の裏 API を先に新設する必要はありません。ツール定義と戻り値は未信頼で、名前が read-only でも証明にはなりません。


ChatGPTデスクトップでサイトツールを使う手順と制限

ChatGPTデスクトップで WebMCP を使うなら、Chrome 経由ではなく内蔵ブラウザを開きます。Help Center の手順は次の6段です。

公式の6手順

  1. デスクトップのツールバーから内蔵ブラウザを開く
  2. 対象サイトを開き、必要ならそのサイト上でサインインする(Chrome のログインは引き継がない)
  3. アドレスバーの矢印で利用可能なツールを確認する(グレーは利用可、青は実行中)
  4. やりたいことを ChatGPT に伝える
  5. サイトアクセスの確認をレビューする
  6. ページまたは会話で結果を確認する。Recently used から Sources を開ける

モデル・ワークスペース・Chromeの制限

現在の制限は次の通りです。

  • モデルは GPT-5.6 Sol または Terra。Luna は WebMCP 無効
  • Enterprise / Edu ワークスペースでは使えない
  • 別コネクタは不要。内蔵ブラウザ限定
  • 埋め込みコンテンツのツールは非対応。ツールは提供元ページに紐づく
  • Settings > Browser > Permissions で Enable site tools を切れる

開発者が Chrome で試す経路は残っています。Netlify は chrome://flags/#enable-webmcp-testing を案内し、WebProNews は Chrome 149 からの origin trial を報じています。これはデスクトップ利用者向けの経路ではありません。一般の ChatGPT 利用では Chrome 側では動きません。


確認プロンプトと先に見る三点

確認を求める操作は次の通りです。

  • 購入
  • 削除
  • 権限変更
  • メッセージ送信
  • 個人情報の共有

パスワードはサイトに直接入力し、会話履歴には絶対に書かないでください。Help Centerでも、データ持ち出しとプロンプト注入のリスクは依然として残ると記載されています。呼び出しごとの安全確認は、そのサイト自体が信頼できるという証明にはなりません。

事前に確認すべき点は次の3つです。

  • 自分のプランとモデルが Sol/Terra か
  • デスクトップが最新か
  • 対象サイトがツールを出しているか

矢印がグレーにならないなら、ページ側が未対応か、埋め込み内か、モデル制限かを切り分けます。


自社サイトとChatGPT Sitesをエージェント対応させる実装

自サイトや ChatGPT Sites をエージェント対応させるなら、公式の最小形は document.modelContext.registerTool です。対応を確認してから、既存関数を execute に渡します。公式スレッドは、最新デスクトップへ更新したうえで Codex に対応サイトの作成と Sites へのデプロイを頼める、と案内しています。

最小実装の手順

実際の手順は次の通りです。

  1. typeof document.modelContext?.registerTool === "function" で対応を確認する
  2. name / description / inputSchema / execute を登録する。読み取りなら annotations.readOnlyHint: true
  3. 入力は狭く、副作用を説明し、結果を検証できる値を返す
  4. 既存の認証・認可・バリデーションをそのまま使う
  5. WebMCP 非対応ブラウザ向けの通常 UI は残す
if (typeof document.modelContext?.registerTool === "function") {
  document.modelContext.registerTool({
    name: "search_docs",
    description: "公開ドキュメントをキーワードで検索する",
    inputSchema: {
      type: "object",
      properties: { query: { type: "string" } },
      required: ["query"]
    },
    annotations: { readOnlyHint: true },
    execute: async ({ query }) => existingSearch(query)
  });
}

document と navigator の差

Netlify の Challenge 案内は navigator.modelContext.registerTool を掲載しています。OpenAI Learn の現行例は document.modelContext です。両方を feature-detect してください。

公式ドキュメントの使用例は次の通りです。

  • search_openai_docs
  • lookup_page
  • lookup_context
  • navigate_to_page
  • generate_custom_guide

headless と co-browse

Nekudaは設計をheadless(エージェントが代理で進める)とco-browse(人とエージェントが同一ページを見る)に分けています。ツールを公開しただけでは顧客体験は完成しません。現時点では検索・参照など確認を伴う安全な操作に限定し、購入や送信などの操作は引き続き確認を必須として残してください。

ShopifyがLiquidストアフロントでツールを有効化した、Cloudflareがダッシュボードにトグルを追加したといった報道(WebProNews、2026年8月26日)は実装の参考になります。ただし、自社の認可境界をそのまま通すという前提は一切変わりません。


WebMCP Challengeの日程・賞金・提出条件

10日間のハッカソンで、現金は上位10件です。締切は公式ルールの 9月3日 1 p.m. PT を正とします。Netlify ブログの 5 p.m. PT は使いません。4時間早い方に合わせます。

公式とNetlifyの時刻差

項目 公式 openai.com / Devpost Netlify ブログ
開始 8月25日 12 p.m. PT(公式ページ) 8月25日 11 a.m. PT
キックオフ配信 8月25日 3 p.m. PT
オフィスアワー 8月31日 11 a.m. PT
提出締切 9月3日 1 p.m. PT 9月3日 5 p.m. PT
受賞発表 9月23日(件数でずれる可能性) 9月23日

出典は次の通りです(2026年8月時点)。


賞金と提出物

上位10件はそれぞれ OpenAI 現金 3,000ドルです。Quasa は Netlify 現金 500ドルを加えて 3,500ドル×10=35,000ドルと整理しています。公式ページは次も列挙します。

  • ChatGPT Pro 1年
  • Codex Micro
  • Shopify / Chrome / Netlify / Cloudflare / Vercel / Render の追加賞

Netlify は 300万クレジットと 5,000ドルの prize pool を別枠で案内しています。

提出物は次です。

  • ホストされた動作アプリ
  • 説明文
  • OSS 公開リポジトリ
  • 音声付きデモ動画

審査は ChatGPT 内蔵ブラウザ、または WebMCP 有効の Chrome です。出すなら公式 1 p.m. PT に間に合うよう、ライブアプリと公開リポジトリとデモ動画を先に固定してください。


よくある質問

Q. WebMCP と MCP の違いは何か。

A. MCP はページを開かずにサーバへ接続します。WebMCP は開いているページがツールを登録し、別コネクタは不要です。両方を同じサイトが持てます。出典:OpenAI Learn

Q. 自分の ChatGPT で使えない場合は何か。

A. 次の順で切り分けます。

  • モデルが Luna
  • Enterprise / Edu
  • 古いデスクトップ
  • Chrome 側の ChatGPT
  • ページがツール未提供
  • 埋め込み内ツール

出典:OpenAI Help Center

締切・パスワード・仕様

Q. Challenge の締切は Netlify の 5 p.m. PT でよいか。

A. 不可です。公式ページと Devpost は 9月3日 1 p.m. PT です。4時間早い方に合わせます。出典:OpenAI WebMCP Challenge

Q. パスワードを ChatGPT に貼ってよいか。

A. 不可です。サイト上で直接入力します。出典:OpenAI Help Center

Q. 仕様は安定しているか。

A. 実験的な Community Group draft です。Standard ではありません。登録 API の navigator / document 差も残ります。出典:W3C WebMCP draft


関連記事:

まとめ

クリック推測から、サイトが公開したツール呼び出しへ移ります。使える条件は、デスクトップ最新版、GPT-5.6 Sol または Terra、内蔵ブラウザ、ページがツールを出していることです。Luna、Enterprise / Edu、Chrome 上の ChatGPT は対象外です。

次にやること:

  • ChatGPT デスクトップを最新にする
  • モデルを GPT-5.6 Sol または Terra にする(Luna / Enterprise / Edu は対象外)
  • 内蔵ブラウザで対応サイトを開き、アドレスバーのサイトツールを確認する
  • 自サイトなら document.modelContext.registerTool で既存処理を1つ登録し、確認必須の操作は確認のまま残す
  • Challenge に出すなら 9月3日 1 p.m. PT までにライブアプリと公開リポジトリとデモ動画を揃える

残る不確実性は、ロールアウト範囲、Chrome の一般提供時期、草案の API 変更、Netlify と公式の時刻差です。締切とモデル制限は、二次記事より公式ページを優先してください。

krona23

著者

krona23

IT業界20年以上の実務経験を持ち、日本国内有数のPVを誇る大規模Webサービスで事業部長・CTOを複数社で歴任。Windows/iOS/Android/Webと技術の変遷を経験し、現在はAIネイティブへの変革に注力。DevGENTでは、AIコードエディタ・自動化ツール・LLMの実践的な使い方を日英西3言語で発信中。

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