筆者は両方のツールを実務で使い込んできました。n8n Dify 比較の結論から言うと、エンジニアなら n8n が断然おすすめです。プラグインに頼らなくても主要なサービスが標準でサポートされており、JavaScript で細かく制御できる柔軟性が魅力です。一方、非エンジニアのチームメンバーには Dify の方が圧倒的に使いやすい。ただし Dify はプラグイン前提の部分もあり、適切なプラグインの選定は非エンジニアには難しいケースがある——その点はエンジニアのサポートがあった方がスムーズです。
📑目次
本記事では、n8n(業務フローの神経系)と Dify(AI アプリの脳)を、筆者の実体験をもとに機能・料金・ユースケースで徹底比較します。
n8n Dify 比較 — 基本情報【2026年版】
まずは両ツールの基本プロフィールを一覧で確認しましょう。設計思想が根本的に異なるため、比較する軸を押さえることが重要です。
| 項目 | n8n | Dify |
|---|---|---|
| 一言で表すと | 業務自動化の神経系 | AIアプリ開発の脳 |
| 設計思想 | ワークフロー自動化(iPaaS) | LLMアプリ開発プラットフォーム |
| 主な用途 | SaaS連携・データ同期・通知自動化 | チャットボット・RAG・AIエージェント |
| 連携数 | 400+ ノード(外部サービス直結) | LLMプロバイダ 15+、ツール連携は API 経由 |
| AI対応 | AI Agent ノード・LangChain 統合 | ネイティブ LLM オーケストレーション |
| プログラミング要否 | 基本ノーコード(JS/Python も可) | 完全ノーコード(API 設定のみ) |
| セルフホスト | Docker / npm(無料・無制限) | Docker Compose(無料・無制限) |
| GitHub Stars | 55,000+ | 60,000+ |
| 公式サイト | n8n.io | dify.ai |
出典:n8n.io, dify.ai 公式サイト(2026年3月時点)
この表からわかるように、n8n は「あらゆるサービスをつなぐ」こと、Dify は「LLM を中心にしたアプリを作る」ことに特化しています。同じノーコードツールでも、目指すゴールが根本から異なるのです。
機能比較 — それぞれの得意分野【2026年版】
ここからは具体的な機能レベルで両ツールの強みと弱みを掘り下げます。業務自動化とAIアプリ開発、それぞれの視点で見ていきましょう。
n8n が得意なこと
① 400+ の SaaS 連携
Slack、Google Sheets、Salesforce、HubSpot など主要 SaaS と直結。ノードを配置するだけで複雑なデータ連携が完成します。
② 高度な分岐・エラー処理
IF/Switch ノード、エラートリガー、リトライ設定で本番運用に耐える堅牢なワークフローを構築できます。
③ Webhook & スケジュール
外部からの Webhook トリガーや Cron ベースのスケジュール実行を標準サポート。イベント駆動型の自動化に最適です。
④ コードノードの柔軟性
JavaScript / Python をノード内に書けるため、ノーコードでは対応しきれない複雑なデータ加工も 1 つのフロー内で完結します。
⑤ AI Agent ノード
2025年以降 LangChain ベースの AI Agent ノードが追加。ワークフロー内に LLM 呼び出しを組み込み、業務AI自動化ツールとしての活用幅が広がっています。
Dify が得意なこと
① RAG(検索拡張生成)
PDF・Web・Notion などのドキュメントを取り込み、ベクトル検索で LLM に知識を与えます。社内ナレッジボットの構築が数分で可能です。
② マルチモデル対応
OpenAI、Anthropic、Google、Mistral など 15 以上のプロバイダを切り替え可能。コスト・精度に応じてモデルを選択できます。
③ プロンプト IDE
プロンプトの編集・テスト・バージョン管理を GUI で完結。チーム内でのプロンプトの共有・改善サイクルが高速化します。
④ チャット UI の自動生成
アプリを作成するだけで公開可能なチャットインターフェースが生成されます。Embed 用のコードも自動出力されるため、Web サイトへの埋め込みも簡単です。
⑤ エージェントモード
ツール呼び出し(Function Calling)や ReAct フレームワークで、LLM が自律的にタスクを遂行する AI エージェントを構築できます。MCP と CLI のエージェント比較で紹介しているような高度なエージェント設計にも対応しています。
⑥ ワークフロー(Chatflow)
2025年に追加されたワークフロー機能で、条件分岐やループを持つ複雑な AI パイプラインをビジュアルに構築可能。n8n に近いフロー設計が Dify 上でも実現できます。
弱点の比較
どちらのツールにも苦手な領域があります。選定の前に弱点も把握しておきましょう。
| 弱点の領域 | n8n | Dify |
|---|---|---|
| LLM ネイティブ統合 | AI ノードはあるが、RAG やプロンプト管理は Dify に劣る | ネイティブ対応 ◎ |
| SaaS 直結数 | 400+ ノードで圧倒的 | API 手動設定が必要、プリセット連携は少ない |
| チャット UI | 標準では提供なし(外部構築が必要) | 自動生成 ◎ |
| 学習コスト | ノード数が多く、複雑なフローは学習に時間がかかる | AI 概念(RAG / Embedding)の理解が前提 |
| 非 AI ワークフロー | 本領発揮 ◎ | AI 以外の自動化には向かない |
出典:n8n.io, dify.ai 公式サイト(2026年3月時点)
⚠️ 選定時の注意点
- n8n の AI 機能は急速に進化中ですが、Dify の RAG・プロンプト管理の成熟度にはまだ追いついていません
- Dify のワークフロー機能も改善中ですが、n8n の 400+ SaaS 連携の幅広さは別次元です
- セルフホストする場合、どちらも Docker の基本知識が必要です
料金プラン比較【2026年版】
コストは導入判断の大きな要素です。両ツールとも無料プランとセルフホストを提供していますが、クラウド版の料金体系は異なります。
n8n の料金プラン
| プラン | 月額(税抜) | 実行数 / 月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Community(セルフホスト) | 無料 | 無制限 | 全機能利用可・サポートなし |
| Starter | $20 | 2,500 | 基本的なクラウド利用向け |
| Pro | $50 | 10,000 | チーム利用・共有ワークフロー |
| Enterprise | 要問合せ | カスタム | SSO・監査ログ・専用サポート |
出典:n8n 料金ページ(2026年3月時点)
💡 ポイント ― n8n のコスト感
n8n はセルフホストであれば完全無料で全機能を使えます。VPS(月額 $5〜10 程度)さえあれば、実行数に制限なく業務自動化を運用できる点が最大の強みです。
Dify の料金プラン
| プラン | 月額(税抜) | メッセージ数 / 月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Sandbox(無料) | 無料 | 200 | 個人検証・GPT-4o mini 等 |
| Professional | $59 | 5,000 | チーム利用・優先キュー |
| Team | $159 | 10,000 | 複数ワークスペース・アナリティクス |
| Enterprise | 要問合せ | カスタム | SSO・SLA・専用インフラ |
出典:Dify 料金ページ(2026年3月時点)
💡 ポイント ― Dify のコスト感
Dify もセルフホストは無料ですが、LLM の API コスト(OpenAI や Anthropic への支払い)は別途発生します。クラウド版は Dify 独自のクレジットでメッセージ数をカウントする仕組みです。
どちらを選ぶべき?用途別おすすめ
筆者の経験から言える n8n Dify 比較の結論は明確です。エンジニアが細かい制御をしたいなら n8n、非エンジニアが AI アプリを作りたいなら Dify。ただし、Dify のプラグイン選定で迷う場面があるため、チームにエンジニアがいるなら支援体制を組むのがおすすめです。
n8n を選ぶべきケース
🏆 n8n がベスト ― 業務フロー自動化
以下に当てはまるなら、n8n が最適です:
- 複数の SaaS を連携させたい(CRM → Slack → Google Sheets など)
- 定型業務の自動化が主目的(請求書処理、通知、データ同期)
- Webhook ベースのイベント駆動型ワークフローが必要
- AI は補助的に使いたい(メール要約、分類など)
- コスト重視でセルフホスト運用したい
Dify を選ぶべきケース
🏆 Dify がベスト ― AI アプリ開発
以下に当てはまるなら、Dify が最適です:
- 社内ナレッジボットやカスタマーサポート AI を構築したい
- RAG(独自データ + LLM)を活用した検索・回答システムが必要
- 複数の LLM を切り替えてコスト最適化したい
- 非エンジニアがプロンプトの改善サイクルを回したい
- チャット UI をすぐに公開したい(Web 埋め込み・API 提供)
n8n + Dify の併用がベストなケース
🚀 併用パターン ― 最強の組み合わせ
実は、n8n と Dify は競合ではなく補完関係にあります。以下のような構成が特に効果的です:
- n8n でデータ収集・整形 → Dify の RAG に投入(ナレッジベースの自動更新)
- Dify で AI 回答を生成 → n8n で後続処理(Slack 通知、DB 書き込み、承認フロー)
- n8n の Webhook → Dify API 呼び出し → n8n で結果をルーティング
n8n が「神経系」として外部システムとつなぎ、Dify が「脳」として AI 推論を担当する。この組み合わせが 2026 年の業務 AI 自動化における最適解の一つです。
関連記事
n8n と Dify の比較をさらに深く理解するために、以下の関連記事もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
筆者の結論 — エンジニアは n8n、非エンジニアは Dify、チームなら併用
エンジニアの筆者としては、プラグイン不要で主要サービスを制御できる n8n の方が好みです。しかし非エンジニアのメンバーには Dify の方が直感的で使いやすい。チーム全体で AI を活用するなら、n8n で業務フロー連携、Dify で AI アプリ開発という併用が最強の構成です。
Dify のプラグイン選定で困ったらエンジニアのサポートを受けましょう。まずは無料のセルフホストで両方を試してみてください。
著者
krona23
IT業界20年以上の実務経験を持ち、日本国内有数のPVを誇る大規模Webサービスで事業部長・CTOを複数社で歴任。Windows/iOS/Android/Webと技術の変遷を経験し、現在はAIネイティブへの変革に注力。DevGENTでは、AIコードエディタ・自動化ツール・LLMの実践的な使い方を日英西3言語で発信中。







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