Sakana AI が発表した Fugu-Ultra v1.1 は、単一 API の背後で複数の frontier モデルを動的にオーケストレーションする multi-agent 製品の quality refresh です。
📑目次
公式は次を同時に打ち出しています。
- v1.0 比で最大約 +7.9 ポイントの改善(ProgramBench / Terminal Bench 2.1 を強調)
- Claude Code 互換エンドポイントの提供開始
- 価格は v1.0 と同額据え置き
本記事は速報見出しの転記ではありません。公式の配線手順、classmethod の実測、Qiita の個人ハーネス、Codex / Cursor 経路の差分を並べ、採用・保留・用途限定の判断材料にします。
ベンチ数字だけを見て常時 Ultra にする判断は、実務コストと合いにくい場面があります。
Fugu と Fugu-Ultra v1.1 の要点比較
判断の軸
結論から言うと、v1.1 は別製品ラインではなく、quality-first の drop-in refresh として扱えます。
導入判断の軸は「ベンチ見出し」より次の4点です。
- 配線(どの入口で繋ぐか)
- model ID(どれを pin するか)
- orchestration コスト(裏で回る token / 待ち時間)
- 経路適合(Claude Code / Codex / SDK のどれか)
比較表
製品・料金・API
| 観点 | Fugu | Fugu-Ultra v1.1 | 実務メモ |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 標準オーケストレーション | quality-first の refresh | 新製品ラインではなく drop-in 寄り(Coursiv) |
| 公表改善 | — | v1.0 比最大 +7.9pt、ProgramBench / Terminal Bench 2.1 強調 | ベンダー公表。第三者再現は未確認(DataCamp / Coursiv) |
| Fable 5 | pool 非同梱 | 「Fable 5 越え」は pool 外比較の主張 | Fable/Mythos は輸出規制等で非同梱との整理あり(DataCamp) |
| 料金(Ultra) | — | $5 in / $30 out / $0.50 cached / 1M tokens(v1.0 同額主張) | 長いコンテキスト帯で倍価格帯の注記あり(Coursiv) |
| API | OpenAI 互換(Chat Completions / Responses) | 同左 + versioned model ID | fugu-ultra-v1.1 / 旧は fugu-ultra-v1.0(旧名 fugu-ultra-20260615) |
エージェント経路・レイテンシ
| 観点 | Fugu | Fugu-Ultra v1.1 | 実務メモ |
|---|---|---|---|
| Claude Code | 手動 ANTHROPIC_* または claude-fugu | 公式が互換エンドポイントを案内 | cosmetic 差・launcher 非 auto-update(GitHub / console) |
| Codex | codex-fugu / -p fugu | 同左 + v1.1 ID の pin | provider 例: https://api.sakana.ai/v1(classmethod) |
| レイテンシ | 相対的に軽い | 軽い質問でも orchestration が膨らみ、百秒級になり得る | classmethod 実測。Qiita: Ultra 平均 44.1s vs Mini 10.1s(16課題) |
出典一覧(2026年6–7月時点)
- Sakana AI 公式発表
- console Get Started
- SakanaAI/fugu
- classmethod DevelopersIO
- Coursiv Fugu-Ultra v1.1
- DataCamp
- Qiita Sin9_Ha

Fugu-Ultra v1.1 で何が変わったか
製品の定義
製品の定義は「1 モデルとして配信される multi-agent system」です。
- 背後で frontier 群をオーケストレーションする
- 利用者は OpenAI 互換 API や coding エージェント入口から呼ぶ
公式が強調する変更点
- quality-first の refresh で、v1.0 比最大約 +7.9 ポイント
- ProgramBench と Terminal Bench 2.1 を特に強調
- 価格は v1.0 と同額据え置き
- Claude Code 互換エンドポイントを同時提供
出典: sakana.ai/fugu-1-1-claude-code-interface
model ID と reasoning effort
運用上いちばん事故りやすいのは ハードコードされた古い model ID です。
- 現行:
fugu-ultra-v1.1 - 旧:
fugu-ultra-20260615→fugu-ultra-v1.0に rename - console カタログでは v1.1 が reasoning effort
high/xhigh/maxをサポートと記載
CI・スクリプト・エージェント設定から旧 ID を洗い出し、明示 pin に揃えるのが先です(Coursiv、console)。
ベンチの読み方(caveat)
- SWE-Bench Pro 73.7% などの数字は Sakana 公表です。第三者による再現は未確認と DataCamp も注記しています。
- 「Fable 5 越え」 は、Fable を agent pool に入れない比較主張です。Fable/Mythos は輸出規制等で pool 非同梱、という整理があります。
- よく定義された中難度タスクでは精度が飽和し、差が速度に寄ることがあります。Qiita の Sin9_Ha 氏は 16 課題で Fugu / Ultra / Claude Opus 4.8 がいずれも 16/16、Ultra は平均約 44.1 秒で Mini の約 4.4 倍遅いと報告しています。
実務では「見出しの最大改善幅」より、自社タスクで latency・token・失敗モードを測る方が意思決定に直結します。
Claude Code 互換エンドポイントの配線と制約
Claude Code 利用者向けの結論は次です。モデル名を差し替えるだけでは足りず、公式が案内する Anthropic 互換配線か claude-fugu launcher が必要です。
公式の二経路
- ワンライナー
curl -fsSL https://sakana.ai/fugu/install | bashのあとclaude-fuguで起動 - 手動 env
–ANTHROPIC_BASE_URL=https://api.sakana.ai
–ANTHROPIC_AUTH_TOKEN(API key を bearer として)
–ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL=fugu-ultra[1m]
–ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL=fugu[1m]
出典: console.sakana.ai/get-started、SakanaAI/fugu
公式が明記する制約
- Claude Code はクローズドソースのため、cosmetic な互換差があり得る
claude-fuguは auto-update しない。新しい Fugu モデル対応は再 install、または手動設定の再適用が必要
互換の意味を取り違えない
Fugu 本体の API は OpenAI 互換(Chat Completions / Responses)です。Claude Code は Anthropic 志向のクライアントです。
したがって「Claude の model picker で Fugu を選ぶだけ」という direct swap ではありません(Coursiv の経路整理)。
classmethod は Claude Code Router(CCR)に sakana provider を足す実験も紹介しています。本番前は 公式 get-started 経路を優先した方が運用コストを抑えやすいです。
セキュリティ上の最低限
curl | bashは内容をレビューしてから実行する- 最初は 非機密リポジトリ で試す
- token 使用量・壁時計レイテンシ・retry を監視する
コードやプロンプトの送信先が Sakana API になる点は、社内のシークレット境界・ライセンス確認の対象です。
Codex・Cursor・OpenAI 互換 API との経路比較
経路は「どれが正しいか」ではなく、既存スタックとの摩擦で選びます。
経路一覧
| 経路 | 入り方 | 向き | 主な注意 |
|---|---|---|---|
| OpenAI 互換 API | https://api.sakana.ai/v1 + model 指定 | 自前エージェント / SDK | model 指定はクライアント責任(classmethod) |
| Codex | codex-fugu / profile -p fugu | Codex CLI 常用 | Responses wire。v1.1 ID を pin |
| Claude Code | claude-fugu または ANTHROPIC_* | Claude Code UX を維持 | cosmetic 差・非 auto-update |
| Cursor | custom provider 可否に依存 | IDE 内完結 | 対応状況を先に確認(Coursiv) |
| CCR 等ルータ | Anthropic 互換プロキシ | 既存ルータ資産 | 実験的。公式経路より運用コストが高め |
実測から読み取れる運用示唆
- classmethod: Ultra は軽いコード生成でも裏で数万 token の orchestration が回り、品質が fugu と同程度でもコストと待ちが増え得る → 「常時 Ultra」は危険
- Qiita: 中難度では accuracy 差が無く latency のみ増 → Ultra は難タスクや長時間エージェントループ向けに限定しやすい
読者向けの分岐
- Claude Code UX が必須 → 公式 Claude 経路
- Codex 中心 →
codex-fugu - 独自 harness → OpenAI 互換を直叩き
- Cursor 依存 → custom provider の可否を先に確認
導入前チェックリストと次のアクション
進め方の順序
ここが本記事の実務コアです。次の順で進めると、見出しベンチに引きずられにくくなります。
- 用途を切る
軽量補完・短タスク →fugu。長時間エージェント・難コーディング →fugu-ultra-v1.1を A/B。 - model ID を pin する
設定・CI・スクリプトからfugu-ultra-20260615を排除し、fugu-ultra-v1.1/fugu-ultra-v1.0に統一。 - 経路を1つ選ぶ
Claude Code / Codex / OpenAI SDK。Cursor は custom provider 可否を先に確認。 - 公式手順で配線する
console get-started の install または ANTHROPIC_*。curl|bash は内容レビュー。 - 非機密リポジトリでスモークする
同一プロンプトを fugu vs ultra で 5–10 本。記録項目は正答/差分、壁時計、usage tokens、エラー/再試行。 - 閾値で採用判定する
レイテンシ SLA、月次 token 予算、シークレット境界(送信先が Sakana API)を満たすか。満たさなければ fugu 固定、または現行 Claude/Codex を継続。 - 運用ガードを置く
launcher 再 install 手順、model catalog 変更の監視、orchestration 膨張時の model 降格ルール。
判断チェックリスト
- ベンダー公表ベンチを社内タスクで再現する計画がある
- Ultra の orchestration コスト上限を決めている
- Claude Code の cosmetic 差を受け入れられる、または回避手順がある
- シークレット・ライセンス・データ所在の承認が取れる
- 失敗時に現行ツールへ戻す手順が書ける
未達項目が残るなら、本番採用より 限定 PoC か 見送り の方が合理的です。
よくある質問(FAQ)
Q1. Fugu-Ultra v1.1 は Fable 5 そのものを使っているのか?
公式主張は「Fable 5 を agent pool に含めずに Fable 5 級を上回る」側です。DataCamp も Fable/Mythos が pool 非同梱と整理しています。ベンチ見出しの主語を取り違えないでください。
Q2. Claude Code のモデルを差し替えるだけで使えるのか?
単純な model 名差し替えではありません。
- 公式は
claude-fugu、またはANTHROPIC_BASE_URL=https://api.sakana.aiなどの Anthropic 互換配線を案内 - Coursiv も direct swap ではないと注意
Q3. いつも Ultra を選べばよいか?
いいえ。
- classmethod は Ultra の orchestration token 膨張と百秒級レイテンシを実測
- Qiita では中難度で精度差がなく Ultra が約 4.4 倍遅い結果
- 用途と予算で切り替える
Q4. 料金の目安は?
Coursiv の要約では次のとおりです(v1.0 同額主張)。
- Ultra: $5/M input
- $30/M output
- $0.50/M cached
- 長いコンテキスト帯で倍になる注記あり
最新は console / 公式 pricing を確認してください。
Q5. Codex と Claude Code のどちらが楽か?
既存スタック依存です。
- Codex 常用 →
codex-fugu - Claude Code UX 維持 → 公式 Claude 経路
- 両方必要でも、評価はまず一方に絞ると比較が崩れにくい
関連記事:
- Claude CodeとCodexの設定同期|CLAUDE.mdとAGENTS.mdのズレを防ぐ
- グラフとループの使い分け|導入判断チェックリスト【2026】
- Claude CoworkのRecord a skillとは|Macで画面録画から再利用スキルを作る手順と導入判断
まとめ
- v1.1 は品質 refresh と Claude Code 互換入口の同時提供で、価格据え置きが主張されています。
- 導入の本丸は見出しベンチより、配線・model ID・orchestration コスト・経路適合です。
- 独立検証は「常時 Ultra」を否定し、タスク別 A/B と監視を勧めています。
- 次の一手は、上記チェックリスト 1–7 を非機密環境で実施し、閾値未達なら現行ツールを継続することです。
公式入口
著者
krona23
IT業界20年以上の実務経験を持ち、日本国内有数のPVを誇る大規模Webサービスで事業部長・CTOを複数社で歴任。Windows/iOS/Android/Webと技術の変遷を経験し、現在はAIネイティブへの変革に注力。DevGENTでは、AIコードエディタ・自動化ツール・LLMの実践的な使い方を日英西3言語で発信中。












コメントを残す