AI Coding Agent の導入が進む一方で、「どのエージェントが使われているか」「トークンとコストはどれくらいか」「ツール実行やエラーはどこで起きているか」といった運用面の問いが増えています。Dynatrace は Claude Code、Gemini CLI、Codex CLI などの AI Coding Agent 監視 を拡張し、OpenTelemetry 経由でセッション・コスト・ツール実行を一つの observability レイヤーに集約します。本記事では公式発表の要点と、筆者の CLI 中心ワークフローから見た実務的な意味を整理します。
📑目次
Dynatrace が拡張した AI Coding Agent 監視の全体像
Dynatrace の公式発表によると、Claude Code、Google Gemini CLI、OpenAI Codex CLI、OpenCode、GitHub Copilot SDK など、異なる実行モデルを持つコーディングエージェントを横断して可視化できるようになりました。ターミナル、SDK、IDE 内ワークフローに散在するテレメトリを個別ダッシュボードでつなぎ直す必要が減り、プラットフォームチームは採用状況とコスト、エンジニアリングリーダーは PR やコミットとの相関を同じ基盤で確認できます。
OpenTelemetry を直接送出できるエージェント(Claude Code、Gemini CLI、Codex CLI、OpenCode)については、セッション、トークン、コスト、ツール実行、エラー、レイテンシを Dynatrace が取り込みます。GitHub Copilot SDK のようにアプリに埋め込むタイプでは、Dynatrace が本番コンテキストやソフトウェアデリバリー自動化、GitHub 連携を足して、エージェントの実行パスを本番に近い文脈で追えるようになります。
対応エージェントと OpenTelemetry 統合の違い
| エージェント | OTel | Dynatrace で見えるもの |
|---|---|---|
| Claude Code | ビルトイン(コード変更不要) | セッション、トークン、コスト、ツール、API 健全性、コミット/PR |
| Gemini CLI | OTel + 事前構成ダッシュボード | エージェント活動とプラットフォーム信号の相関、遅延・エラー |
| Codex CLI | オプトイン OTel | CLI/IDE/アプリ横断の監査、トレース、トークン消費アラート |
| OpenCode | 標準 OTLP 環境変数 | LLM 呼び出し量、セッション、ツール、レイテンシ |
| GitHub Copilot SDK | 埋め込み型(Dynatrace がコンテキスト追加) | 実行パス、ログ、ポリシー関連イベント |
出典:Dynatrace 公式ブログ(2026年6月時点)
なぜ今 AI Agent Observability が必要か
チームごとに Claude Code をターミナルで使い、別チームは Copilot SDK で内部ツールを作り、さらに Gemini CLI や Codex CLI を試す——こうした混在環境では、コストの急増やツール実行失敗が個人のターミナルログに閉じ込められがちです。Dynatrace は「採用の可視化」「コストシグナル」「信頼性アラート」を一箇所に集約し、ガバナンスとスケールの両方を狙った拡張と説明しています。
公式ブログでは、Claude Code を計測する前はエンジニアの AI 利用(モデル・タスク・コスト)の内訳が取れず、計測後に非効率なモデル利用を特定できた、という顧客コメントも紹介されています。大規模導入フェーズでは、機能比較より「誰が・何に・いくら使っているか」の把握が先に来る、という文脈と一致します。
OpenTelemetry 連携と GitHub サンプルの使い方
Dynatrace は GitHub 上に dynatrace-ai-agent-instrumentation-examples を公開しており、Claude Code など対応ワークフロー向けに OpenTelemetry のエクスポート設定、Dynatrace への送信、提供ダッシュボードでの分析手順を示しています。Claude Code は組み込み OTel のためコード変更なしでメトリクスとログを送れる点が、導入ハードルを下げる要素です。
Codex CLI はオプトインの監視であり、CLI・IDE・アプリ体験を横断した監査やガバナンス強化に向いています。OpenCode は標準の OTLP 環境変数でルーティングできるため、ターミナルベースのエージェントでも同じ observability 戦略に載せやすい、と公式は整理しています。
CLI 中心ワークフローから見た Dynatrace の位置づけ
筆者は以前 MCP を積極的に使っていましたが、CLI の方がコンテキスト消費が抑えられ、エージェントのツール呼び出しも安定しやすいため、現在は極力 CLI に移行しています。一方で CLI をエージェントが実行できる環境に置く必要があり、MCP が不要になるわけではありません。統合ごとに CLI と MCP を使い分けるのが現実的です。
そのうえで Claude Code で設計、Codex で実装・レビューという分担を取ることが多いのですが、長時間タスクでは「どのサブタスクがトークンを食っているか」が見えにくくなります。Dynatrace のような AI Agent Observability は、個人の ChatGPT Pro($100)と Claude Max($200)を併用する環境でも、チーム単位のコストと失敗パターンを説明可能にするレイヤーとして機能し得ます。
Pro / Pro+ / Ultra の差やクレジット消費の見え方が強調される各ベンダーの UI とは別に、エンジニアリング組織向けに PR・コミット・本番影響までつなげるのが Dynatrace 側の強みです。MCP 経由で IDE から本番コンテキストに触れる Dynatrace MCP Server とも組み合わせ、エージェントの判断と実行結果を同じ画面で追える点が、単なるログ集約以上の価値になります。
よくある質問(FAQ)
関連記事: GitHubがClaude・Codexなど第三者コーディングエージェントのセキュリティ検証をGA化、Codex app 26.609:リセット貯金・Developer mode・Browser Use高速化が追加、SupabaseがAIコーディングエージェント向けプラグインを発表:MCPとAgent Skillsを同梱。
まとめ
Dynatrace は AI Coding Agent 監視を Claude Code、Gemini CLI、Codex CLI などに拡張し、OpenTelemetry でセッション・コスト・ツール・エラーを統合しました。導入が個人のターミナル試行から組織のガバナンスフェーズに移る今、採用・コスト・信頼性を一つの observability 戦略で語れる点が実務的な価値です。筆者の CLI 中心ワークフローでも、長時間エージェントタスクの説明責任を果たす基盤として検討に値します。
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著者
krona23
IT業界20年以上の実務経験を持ち、日本国内有数のPVを誇る大規模Webサービスで事業部長・CTOを複数社で歴任。Windows/iOS/Android/Webと技術の変遷を経験し、現在はAIネイティブへの変革に注力。DevGENTでは、AIコードエディタ・自動化ツール・LLMの実践的な使い方を日英西3言語で発信中。












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