Google が送り出した AI エディタ Antigravity。「エージェントファースト」を掲げ、並列エージェントやブラウザ統合など他にない機能を持つ。だが「結局 Cursor や Devin Desktop(旧Windsurf)と何が違うの?」「Antigravity 料金は高い?」「自分の開発スタイルに合う?」という疑問が多い(Windsurf は2026年6月に Devin Desktop へ改名されました)。2026年3月の料金体系変更で開発者コミュニティは騒然——無料枠 92% カット、「$20 の文鎮」との声も。筆者もエージェント機能の強さに惹かれて一時期メインで使っていましたが、AI Ultra プラン($249.99/月)に加入しないと実用にならず、現在は使用をやめています。本記事ではその実体験も踏まえ、Antigravity の独自の強みと正直な弱みを整理し、「あなたが Antigravity を使うべきかどうか」を判断できるようにします。
📑目次
Antigravity とは? — 30秒でわかる概要【2026年最新】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発元 | |
| リリース | 2025年11月18日(パブリックプレビュー、2026年3月現在も継続中) |
| 基盤 | VS Code(オープンソース版)フォーク |
| コンセプト | エージェントファースト — AI に仕事を「委任」する IDE |
| 搭載モデル | Gemini 3.1 Pro, Gemini 3 Flash, Claude Sonnet 4.6, Claude Opus 4.6, GPT-OSS-120B |
| 対応 OS | macOS(Apple Silicon 最適化), Windows 10/11, Linux |
| 公式サイト | https://antigravity.google/ |
筆者の印象では、Antigravity のコンセプトは非常に先進的です。「AI にタスクを委任する」という発想は、他のエディタの一歩先を行っています。ただし、その先進性を実感するには料金の壁が高いのが正直なところです。
- VS Code フォークのため、既存の拡張機能・キーバインド・テーマをインポート可能
- 従来の「AI がコーディングを補助する」ツールとは異なり、開発者がマネージャーとしてエージェントに仕事を委任するコンセプト
- AgentKit 2.0(2026年3月):16の専門エージェント、40+のスキル、11のプリセットコマンド
VS Code に何が追加された? — Antigravity の独自機能一覧
UI の追加要素
🖥️ UI
- Manager View(ミッションコントロール): 起動時に表示される新しいトップレベル画面。エージェントの起動・監視・成果物確認のダッシュボード
- Agent サイドバー(Cmd+L): 右サイドバーにエージェントタブ。タスクの進捗・計画・ステータスを表示
- Artifacts パネル: エージェントが生成する成果物(実装計画、スクリーンショット、ブラウザ録画、コード差分)を表示。Google Docs のようにインラインコメントでフィードバック可能
- 2画面アーキテクチャ: Editor View(コーディング)と Manager View(エージェント管理)を同時に開ける
エージェント機能
🤖 Agent
- 並列エージェント実行: 最大5つのエージェントを同時に異なるタスクに投入。各エージェントは別ワークスペースで非同期動作
- Plan Mode / Fast Mode: Plan Mode はアクション前に計画書(Artifact)を生成→レビュー→実行。Fast Mode は即時実行
- 3面自律実行: エージェントがエディタ→ターミナル→ブラウザを自律的に横断
- 3つの開発モード: Agent-driven(全委任)、Review-driven(許可制)、Agent-assisted(推奨・部分委任)
ビルトインツール
🔧 Tools
- 内蔵 Chromium ブラウザ: エージェントがページ描画・UI 検査・スクリーンショット撮影・自動テストを実行
- インラインコマンド(Cmd+I): エディタ・ターミナル内で自然言語コマンドを直接入力
- Tab 補完の拡張: Tab Import(不足 import の自動提案)、Tab Jump(次の編集箇所へカーソル移動)
スキルシステム
📦 Skills
- SKILL.md ファイル: ディレクトリベースの拡張機構。YAML + Markdown でエージェントの振る舞いを定義
- scripts/(Python, Bash, Node.js, Go)と resources/ のパッケージ構成
- 遅延読み込みでコンテキストウィンドウを最適化
Google エコシステム統合
☁️ Google Cloud
- Firebase MCP: コンソールを開かずに API キー取得・Firestore 設定・認証実装・デプロイまで
- Google Cloud Data Extension: コマンドパレットから GCP リソースを直接操作
- MCP サーバー設定: Agent ウィンドウから追加・管理
Antigravity だけの強み — 他の AI エディタにないもの
① 並列エージェント実行(最大の差別化ポイント)
- 最大5つのエージェントを同時に異なるタスクに投入
- 各エージェントは別ワークスペース・別ブランチで非同期動作
- Cursor も Windsurf も「1タスク1エージェント」——並列実行は Antigravity だけ
筆者が最も惹かれたのがこの並列実行です。実際にバックエンドとフロントエンドの修正を同時に進められるのは画期的でした。他のエディタでは味わえない体験です。
② Manager View(エージェント管理ダッシュボード)
- 複数エージェントの起動・監視・成果物確認を一画面で
- Artifacts でインラインコメント→フィードバック→次のアクションに反映
- Editor View との2画面切り替えで両立
③ ブラウザ統合(自動UIテスト)
- 内蔵 Chromium でクリック・フォーム入力・スクロールを自動実行
- 3面自律実行: エディタ→ターミナル→ブラウザを人間の介入なしに横断
筆者はフロントエンド開発でこのブラウザ統合を試しましたが、コードを書いてそのままブラウザで動作確認・UI テストまで自動化される体験は、他のエディタにはないものでした。
④ Google エコシステム一体化
- Firebase MCP でコンソール不要のデプロイ
- Gemini 最新版にいち早くアクセスできるホームグラウンド
⑤ スキルシステム(SKILL.md)
- 遅延読み込みでコンテキスト最適化
- 組織のベストプラクティスをコード化可能
⑥ 開発モード選択
- Agent-driven / Review-driven / Agent-assisted から選択
- 自律性レベルを自分でコントロール
Antigravity 料金プラン — 実際いくらかかる?【2026年3月最新】
| プラン | 月額 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 個人(プレビュー) | $0 | 週次の利用制限あり。プレビュー期間中の暫定 |
| Google AI Pro | $20/月 | 5時間ごとにリフレッシュ。ほんのちょっとした開発のみ |
| Google AI Ultra | $249.99/月 | 最高性能モデルへの安定的アクセス。本格開発はこれ一択 |
| 追加クレジット | $25 / 2,500 cr | 利用枠を使い切った場合に追加購入 |
無料プランの実力と制限
- パブリックプレビュー継続中(GA 未発表)。個人利用無料で Claude Opus 4.6 まで利用可能
- 2026年3月に無料枠が 92% カット(250 RPD → 20 RPD)。ヘビーに使うと 2〜3 時間で制限到達
- お試しには使えるが継続開発には厳しい
筆者の実感でも、無料枠カット後はエージェントを数回動かしただけで制限に達してしまいます。「ちょっと試す」には十分ですが、実務で使えるレベルではありません。
AI Pro($20/月)は十分か?
- 5時間リフレッシュ → 2026年3月から週次キャップ追加
- プレミアムモデルで 5〜7日のロックアウト発生の報告
- 軽量プロジェクトなら使える程度
筆者は AI Pro で一定期間試しましたが、エージェントを本格的に使うと 1 日持ちませんでした。特に並列エージェントを活用するとクレジット消費が加速するため、「エージェントファースト」の真価を体感するには AI Pro では明らかに不足します。
AI Ultra($249.99/月)— 本格利用は事実上これ一択
AI Ultra は Antigravity だけでなく、Gemini の各種機能(Deep Research・Gems・Workspace 統合)もフル解放される。
- Gemini 3.1 Pro (High) や Claude Opus 4.6 への安定的アクセス
- 参考: Cursor Ultra $200/月、Claude Max $100〜200/月と比較しても最高額クラス
筆者が使用をやめた最大の理由がこの料金体系です。Claude なら $100 の Max プランで十分実用的なのに、Antigravity は $249.99 の AI Ultra 一択。$20 と $250 の間にプランがなく、「ちょっと本気で使いたい」層の受け皿がありません。この価格設計は多くの開発者にとってハードルが高すぎると感じます。
料金体系変更と開発者の反発(2026年3月)
⚠️ 開発者コミュニティの反応
- The Register「Users protest as Google Antigravity price floats upward」
- Reddit r/GeminiAI で「$20 の文鎮」がバイラルに
- クレジット制への移行でコスト予測が困難に
Antigravity vs Cursor vs Windsurf — どれを選ぶべき?【2026年版】
👉 Cursor との詳しい比較は「Cursor vs Antigravity 徹底比較|安定派 vs エージェント特化派」で解説しています。
| 項目 | Antigravity | Cursor | Devin Desktop |
|---|---|---|---|
| 思想 | エージェント管理・委任型 | 開発者フロー重視・補助型 | 大規模コードベース向け |
| 基盤 | VS Code フォーク | VS Code フォーク | VS Code フォーク |
| 並列エージェント | ✅ 可能(最大5) | ❌ 不可 | ❌ 不可 |
| ブラウザ統合 | ✅ 内蔵 + Chrome 拡張 | ❌ なし | ❌ なし |
| SWE-bench | 76.2% | ~77% | 同等 |
| 対応モデル | Gemini, Claude, GPT-OSS | 複数(BYO API Key) | 複数(Cascade 独自含む) |
| 月額プロ | $20(AI Pro) | $20(Pro) | $15(Pro) |
| 最高プラン | $249.99(AI Ultra) | $200(Ultra) | $60(Ultimate) |
| 安定性 | やや不安定 | 安定 | 安定 |
| コンテキスト保持 | 劣化報告あり | 安定 | 安定 |
Antigravity を選ぶべき人
✅ こんな人におすすめ
- フロントエンド・UI 開発でブラウザテストまで自動化したい
- 複数タスクを並列実行して開発速度を最大化したい
- Google エコシステム(Firebase, Cloud Run)をメインで使っている
- 新しいプロジェクトのプロトタイピングを高速に回したい
- 料金よりも「新しい開発体験」を試したい(AI Ultra を許容できる)
筆者の結論としては、AI Ultra に加入できるなら間違いなく強力なエディタです。並列エージェントとブラウザ統合の組み合わせは、2026年時点で他に代替がありません。予算が許すなら試す価値は十分にあります。
Antigravity を避けるべき人
⚠️ こんな人には向かない
- バックエンドの大規模コードベースを安定的に扱いたい → Windsurf
- 安定性・予測可能性を最重視する → Cursor
- ミッションクリティカルな本番コードを扱う → Cursor / Windsurf
- 月額を $60 以下に抑えたい → Windsurf Ultimate or Cursor Pro
- Google Workspace アカウントしかない → 非対応(個人 Gmail のみ)
筆者のように料金がネックで離脱する人は少なくないと思います。エージェント性能は業界トップクラスなだけに、$20 と $250 の間に $100 前後のプランがないのは本当にもったいないです。
正直な弱み — 知っておくべき注意点
- シンタックスハイライトの不具合、拡張機能の動作不良など安定性に課題
- 2026年1月以降、コンテキスト保持の劣化報告(200K+ → 数プロンプト前を忘れる)
- 存在しないライブラリのインポート生成(ハルシネーション)
- レガシーコードを「非効率」と判断して勝手に削除するケース
- 料金体系が不透明
- Google Workspace アカウント非対応(個人 Gmail のみ)
- セキュリティ研究者 Mindgard がバックドア攻撃の脆弱性を指摘(2025年11月)
筆者が使用中に特に気になったのは、コンテキスト保持の劣化です。長いセッションで作業していると、数プロンプト前の指示を忘れたかのような挙動が増え、手戻りが発生しました。エージェント性能が高いだけに、この不安定さは惜しいところです。
よくある質問 — Antigravity の使い方と選び方
Antigravity 料金や機能に関するよくある質問をまとめました。
Antigravity は無料ですか?
パブリックプレビュー期間中は個人利用無料ですが、2026年3月に無料枠が 92% カットされました。本格利用には AI Ultra($249.99/月)が事実上必要です。
VS Code の拡張機能はそのまま使えますか?
はい、VS Code フォークのためインポート可能です。ただし一部の拡張機能で動作不良の報告があります。
Cursor と比べてどちらがいい?
フロントエンド・並列エージェント・ブラウザ統合なら Antigravity。安定性・バックエンド・本番コードなら Cursor。用途で使い分けるのがベストです。
どの AI モデルが使えますか?
Gemini 3.1 Pro (High/Low)、Gemini 3 Flash、Claude Sonnet 4.6、Claude Opus 4.6、GPT-OSS-120B の5モデルが利用可能です。
Google Workspace アカウントで使えますか?
現時点では非対応です。個人の Gmail アカウントのみ利用可能です。
Manager View とは何ですか?
複数の AI エージェントを同時に起動・監視するコンソール画面です。各エージェントが異なるタスクを並列で実行し、成果物を提出します。
$249.99 の AI Ultra は本当に必要?
本格的な開発には事実上必須です。AI Pro は軽い作業のみ。まずは無料プレビューで試して判断するのがおすすめです。筆者の経験でも、AI Pro ではエージェント機能をフル活用できませんでした。
まとめ — Antigravity を使うべきかの判断基準
「エージェントファースト」の新コンセプトが自分に合うかが判断基準
筆者の実感として、Antigravity のエージェント性能は非常に優秀ですが、使える量が極端に少ないのが最大のネックです。Claude のように $100 の中間プランもなく、本格利用は $249.99 の AI Ultra 一択となります。そのプランへの加入を許容できるなら、メインエディタとして十分に戦力になるでしょう。
筆者は結局 Cursor → Windsurf → Zed と渡り歩いて落ち着きましたが、Antigravity のエージェント機能は今でも業界随一だと感じています。料金の壁さえクリアできるなら、最も「未来の開発体験」に近いエディタです。
- 使うべき人: フロントエンド開発者、プロトタイピング重視、Google エコシステムユーザー
- 避けるべき人: 安定性最優先、大規模バックエンド、コスト重視の開発者
- 本格利用には AI Ultra($249.99/月)が必要
- まずは無料プレビューで試して判断するのがおすすめ
👉 AI エディタ比較(Cursor, Windsurf, Zed)も合わせてチェック
著者
krona23
IT業界20年以上の実務経験を持ち、日本国内有数のPVを誇る大規模Webサービスで事業部長・CTOを複数社で歴任。Windows/iOS/Android/Webと技術の変遷を経験し、現在はAIネイティブへの変革に注力。DevGENTでは、AIコードエディタ・自動化ツール・LLMの実践的な使い方を日英西3言語で発信中。
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